年収

転職で希望年収を決めるポイントとは?面接での伝え方や交渉の仕方も解説

  • 転職の面接で希望年収をどう伝えればいいかわからない
  • 自分の希望年収の妥当な金額が判断できない
  • 希望年収が原因で選考に落ちたくない

転職の面接で聞かれる希望年収の質問に、どう答えるべきか悩む方は多いでしょう。若手社会人にとって年収交渉は大きな壁となり、伝え方次第で印象が大きく変わります。

この記事では転職面接での希望年収の決め方や具体的な伝え方、交渉のコツを解説します。記事を読めば自信を持って希望年収を伝えられ、年収交渉を有利に進めることが可能です。希望年収を伝える際は現職の年収や市場相場を調べて根拠を準備します。最低希望額と理想額を明確にしたうえで、自信を持って希望年収を伝えましょう。

転職の面接で希望年収を問われる理由

企業が転職面接で希望年収を聞く理由は予算を確認することだけが目的ではありません。転職の面接で希望年収を問われる理由は以下のとおりです。

  • 求職者の市場価値と自己評価を確認するため
  • 企業の採用コストに見合う人材か見極めるため

求職者の市場価値と自己評価を確認するため

企業が希望年収を聞く理由は求職者自身が市場価値を正しく理解しているか確認するためです。企業は面接で希望年収を問うことで、求職者のビジネス感覚と自己分析力を総合的に評価しています。

希望年収が相場より高すぎると「自己認識が甘い」と判断され、低すぎる場合は「自信がない」と判断されます。自己評価と市場価値に大きなズレがあると、入社後の役割や期待に食い違いが生じるので注意が必要です。

企業の採用コストに見合う人材か見極めるため

企業は採用コストに見合う活躍が期待できる人材か判断するために、転職の面接で希望年収を確認します。採用には求人広告費や面接にかかる時間など、企業にとって大きな投資が必要だからです。企業が希望年収から見極めるポイントは以下のとおりです。

  • 採用予算内で雇用可能か
  • 活躍と給与のバランスが適切か
  • スキルレベルと給与基準が合致するか
  • 給与を上回る貢献が期待できるか

企業は求職者に支払う給与と入社後の活躍のバランスを考え、投資価値があるか判断しています。

転職の希望年収を決める際のポイント

根拠のない年収は交渉を不利にし、正当な評価を得る機会を狭めてしまいます。転職の希望年収を決める際のポイントは以下のとおりです。

  • 現職の年収を基準にする
  • 応募先企業や業界の年収相場を調べる
  • 自分のスキルや経験にもとづく市場価値を把握する
  • 最低希望年収と理想年収を設定する

複数の観点から希望年収を検討し、説得力のある金額を設定しましょう。

現職の年収を基準にする

希望年収を決める際は現在の年収を正確に把握しましょう。現職の年収は企業に対して希望額が妥当であることを示す客観的な根拠になります。現職の年収を確認するためには源泉徴収票の「支払金額」欄で税引き前の総収入額を確認してください。総収入額には月給だけでなく賞与、残業代、各種手当もすべて含まれています。

希望年収は現職の年収維持か、現職の1.1~1.2倍の範囲が現実的な交渉ラインです。年収ダウンも選択肢に入れる場合は生活に困らない最低限の金額を計算しておきましょう。
» 転職による年収アップの実態と交渉のポイントを解説

応募先企業や業界の年収相場を調べる

希望年収を決める際は応募先企業や業界の年収相場を把握する必要があります。相場を知らないと低すぎる金額で損をしたり、高すぎる金額で採用の機会を逃したりします。応募先企業や業界の年収相場を調べる方法は以下のとおりです。

調査方法確認できる情報信頼度
転職サイトの求人情報同業種・同職種の給与水準高い
企業口コミサイト実際に働く社員の年収データ中程度
有価証券報告書上場企業の平均年間給与とても高い
厚生労働省の統計業界全体の平均賃金とても高い

複数の情報源から年収相場を調べると、より正確な相場を理解できます。転職エージェントに相談すれば非公開情報を含めた年収相場も教えてもらえます。

自分のスキルや経験にもとづく市場価値を把握する

希望年収を決めるには自分のスキルや経験の市場価値を正しく知る必要があります。企業に希望年収を伝える際、明確な根拠があれば説得力が増します。自分の市場価値を把握する方法は以下のとおりです。

  • 実績や成果を数値化する
  • 専門スキルと資格を整理する
  • 市場価値診断ツールを利用する
  • 同職種の年収を調査する
  • 転職エージェントに相談する

複数の方法で自分の市場価値を確認すると、企業にアピールできる強みが明確になります。自分の客観的な評価を知ることが納得のいく転職への第一歩です。
» 年齢別の平均年収は?男女・地域・職種別に詳しく解説!

最低希望年収と理想年収を設定する

転職活動では最低希望年収と理想年収の2つを設定しましょう。最低希望年収は現在の年収や生活費をもとに、転職する意味がなくなる最低限のラインを指します。

理想年収はスキルや経験、応募先企業の給与レベルをふまえた現実的な希望額です。企業から最大限に評価してもらえた場合の金額を想定します。

2つの金額を設定しておくと交渉の幅が生まれ、企業との合意点を見つけやすくなります。最低ラインを下回る提示があった場合は転職を見送る判断基準にもなるため、必ず設定しておきましょう。

転職の面接での希望年収の答え方

転職の面接での希望年収の伝え方次第で企業の印象は大きく変わります。単に金額を伝えるだけでは不十分で、企業が納得する希望年収の伝え方を知る必要があります。転職の面接での希望年収の答え方は以下のとおりです。

  • 総支給額で答える
  • 理由や根拠を示しながら伝える

正確な金額と明確な根拠をセットで伝え、面接官にプロフェッショナルな印象を与えましょう。

総支給額で答える

転職の面接で希望年収を聞かれた際は必ず総支給額で答えましょう。企業側の「年収」は税金や社会保険料が引かれる前の金額を指すことが一般的だからです。

手取り額で希望を伝えると企業側との認識にズレが生じ、想定より低い年収で採用が決まる可能性があります。総支給額には基本給に加えて残業代、住宅手当などの各種手当や賞与がすべて含まれます。企業によっては「額面」という表現を使う場合もありますが、総支給額と同じ意味です。

転職の面接では「希望年収は総支給額で○○万円です」と明確に伝えると誤解を防げます。回答例として「現在の年収が総支給額で400万円ですので、同水準以上を希望します」といった伝え方が挙げられます。

理由や根拠を示しながら伝える

転職の面接で希望年収を伝えるときは金額とあわせて理由や根拠を述べることが大切です。希望年収の理由を添えると希望額に説得力が生まれ、自分の市場価値を正しく理解していることを面接官に示せます。希望年収の客観的な根拠として使える要素は以下のとおりです。

  • 現職の年収と同等以上を希望する理由
  • 即戦力として貢献できるスキルや経験
  • 業界や応募先企業の年収相場との比較
  • 前職での具体的な実績や成果
  • 業務に関連する専門資格

具体的な伝え方として「前職では売上目標を120%達成し、新規開拓で10社の契約を獲得しました。御社でも同様の成果を出せると考え、○○万円を希望します」と実績を数値化して伝えると説得力が増します。最後に「御社の規定に従います」と柔軟性も示すと好印象です。

転職の面接で希望年収を答える際の注意点

希望年収の回答で失敗すると能力があっても選考で不利になります。よくある失敗パターンを知り、適切な金額設定と伝え方を心がける必要があります。転職の面接で希望年収を答える際の注意点は以下のとおりです。

  • 低すぎる希望年収を避ける
  • 身の丈に合わない希望年収を提示しない
  • 希望年収に一貫性を持たせる

転職の面接で希望年収を答える際は自分の価値を適切に評価し、一貫性のある回答を心がけましょう。

低すぎる希望年収を避ける

謙虚さから低めの希望年収を伝えたくなりますが、低すぎる年収の提示は避けましょう。企業は低すぎる希望年収から自信のなさや意欲の低さを感じ取ります。現職より20%以上低い希望年収を提示すると「何か問題があるのでは」と疑念を持たれるので注意が必要です。

適正な希望年収の目安として、最低でも現職の90%以上を提示しましょう。年収ダウンを受け入れる場合でも「キャリアチェンジのため一時的な年収ダウンは受け入れますが、実力を証明した後は適正な評価をお願いします」と将来の昇給への期待を伝えることがポイントです。

身の丈に合わない希望年収を提示しない

自分のスキルや経験に見合わない希望年収を伝えることも避けましょう。企業は身の丈に合わない希望年収から自己評価の高さや謙虚さの欠如を感じ取ります。現職より30%以上高い希望年収を根拠なく提示すると、現実が見えていない人物と判断される傾向があります。

適切な希望年収を設定するには同業他社の求人票を10社以上確認し、平均値を算出する方法が有効です。年収アップを希望する場合は10~20%の範囲内に収め、さらなる年収アップを希望する際は明確な根拠を3つ以上準備しましょう。

希望年収に一貫性を持たせる

転職活動を通じて伝える希望年収は一貫性を持たせるために、応募書類から面接まですべて同じ金額にしておきましょう。場面によって希望年収が変わると採用担当者に軸がない人物という不信感を与えます。企業は求職者の選考過程での発言をすべて記録しているため、矛盾はすぐに明らかになります。

希望年収を変更する必要がある場合は「前回○○万円とお伝えしましたが、詳しい業務内容を伺い、責任範囲が想定より広いため、○○万円に修正させていただけますか」と正直に理由を説明してください。一貫性を保つため、希望年収を事前に記録しておくことをおすすめします。

転職で希望年収を交渉する方法

転職での希望年収の交渉は多くの求職者が苦手とする場面です。準備不足のまま年収の交渉に臨むと満足のいく条件を引き出せず後悔につながります。転職で希望年収を交渉する方法は以下のとおりです。

  • 交渉のための事実とデータを準備する
  • 転職エージェントを活用する

転職で希望年収を交渉する際は戦略的な準備と適切なサポートを活用して、納得のいく条件を引き出しましょう。

交渉のための事実とデータを準備する

希望年収の交渉を成功させるには客観的な事実とデータにもとづいた準備が欠かせません。感情的に伝えるのではなく、根拠を示すことで希望年収に説得力を持たせられます。

希望年収の交渉を有利に進めるために準備すべき情報は現職の正確な年収額と内訳、仕事での貢献度を示す具体的な数字です。売上貢献額や改善による経費削減額など、金額換算できる実績を3つ以上用意します。他社からの内定がある場合は提示された年収額も交渉材料として活用できます。

希望年収の交渉のタイミングは内定後の条件提示時が最適です。「御社で活躍したい気持ちは変わりませんが、年収についてご相談があります」と前向きな姿勢を示しながら切り出します。事実にもとづいた年収交渉はお互いが納得できる結果につながる第一歩になります。

転職エージェントを活用する

年収交渉に不安があるなら転職エージェントの活用がおすすめです。転職のプロであるキャリアアドバイザーが求職者に代わって企業と年収交渉をしてくれます。転職エージェントから受けられるサポートは以下のとおりです。

  • 希望年収の適切な伝達
  • 市場価値のアドバイス
  • 企業の給与情報の提供
  • 内定後の条件交渉サポート
  • 企業との良好な関係の維持

転職エージェントは企業の給与テーブルや過去の採用実績を把握しているため、実現可能な希望年収を提案してくれます。転職希望者が直接言いにくい年収交渉も第三者として客観的に伝えてくれるため、企業との関係を損なうリスクも軽減できます。
» 転職エージェントとは?受けられるサービスや利用の流れを解説!

転職の希望年収に関するよくある質問

転職の希望年収に関するよくある質問は以下のとおりです。

  • 希望年収が原因で不採用になることはある?
  • 企業から希望年収を聞かれなかったときはどうすればいい?
  • 希望年収を低く言ってしまったときの対処法は?

希望年収が原因で不採用になることはある?

希望年収が直接的な原因で不採用になるケースはあります。希望年収が企業の考えている条件と大きくずれている場合、採用が見送られる可能性があります。不採用につながる希望年収のパターンは以下のとおりです。

  • 予算を大幅に超過する金額
  • スキルと年収の不一致
  • 根拠のない高額な希望
  • 待遇面への過度な執着
  • 自信のなさを示す低すぎる金額

希望年収の伝え方一つで企業に与える印象は大きく変わります。自分の価値を正しく理解し、企業の給与水準をリサーチしたうえで適切な希望年収を伝えましょう。

企業から希望年収を聞かれなかったときはどうすればいい?

企業から希望年収を聞かれなくても、自分から給与の話を切り出すのは避けましょう。基本的には企業側から希望年収の話が出るまで待つことがマナーです。最終面接まで希望年収の話が出なかった場合の対策は以下のとおりです。

  • 最終面接の逆質問で謙虚に尋ねる
  • 内定後の面談で詳細を確認する
  • 転職エージェントに確認を依頼する

最終面接の逆質問では「もし内定をいただけた場合、給与はどのような形で決まるのでしょうか」と控えめに聞きます。企業が希望年収を聞かない理由は社内の給与テーブルが固定されているか、スキルを見てから判断したいためです。焦らず適切なタイミングを待てば年収交渉で不利にならずに済みます。

希望年収を低く言ってしまったときの対処法は?

転職の面接で希望年収を低く伝えてしまっても、後から訂正できる可能性は十分にあります。希望年収を低く言ってしまったときの対処法は以下のとおりです。

  • 次の面接で謙虚に訂正する
  • オファー面談で交渉する
  • 転職エージェントに相談する

希望年収の訂正を打診するタイミングは最終面接後から内定通知前です。希望年収の訂正が早すぎると一貫性がないと判断され、遅すぎると交渉の余地がなくなるため、ベストタイミングを見計らいましょう。

希望年収を正しく伝えて後悔しない転職を実現しよう

転職の希望年収は総支給額で答え、現職の年収を基準に10~20%の範囲内で設定しましょう。面接では希望年収だけでなく、実績を数値化した根拠を3つ以上準備して伝えます。最低希望額と理想額の2つを設定し、企業の給与テーブルを事前に調査しておくことで年収の交渉の余地が生まれます。

自分で年収の交渉が難しい場合は転職エージェントを活用し、プロの力を借りることも選択肢の一つです。希望年収の伝え方次第で年収が100万円変わることもあるため、根拠のある希望年収を堂々と伝えましょう。適切な準備と戦略的な交渉で、キャリアアップと年収アップの両方を実現してください。

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