- 転職で本当に年収が上がるのか不安がある
- 年収交渉のやり方がわからない
- 年収アップを成功させる具体的な戦略を知りたい
今の仕事での給与に不満を感じ、転職を考える若手社会人は多くいます。ただし、転職は年収アップのチャンスである一方で、綿密な戦略なしで臨むと年収が下がるリスクも伴います。
失敗を避けて年収を上げるには、自身の市場価値を理解したうえで、戦略的に動くことが欠かせません。なかでも、適切なタイミングで給与の希望額を伝える交渉術を身に付ければ、年収アップの成功確率は上がります。
この記事では、転職による年収アップの実態や具体的な戦略、成功率を高める交渉術を解説します。転職で年収を上げたい人はぜひ参考にしてください。
転職による年収アップの実態

誰もが転職で年収アップに成功するわけではなく、上がる人と下がる人に分かれています。ここでは、年収アップした人の割合や上がった金額の平均、上がりやすい年代・職種を紹介します。
転職で年収アップした人の割合
転職で年収が上がった人の割合は、調査によって異なりますが約40〜60%です。厚生労働省の調査では、転職した人のうち前職より賃金が増加した割合は40.5%でした。一方で、民間の大手転職サービスdodaの調査では59.3%と、半数を超えています。国の調査はパートタイムで働く人も対象に含み、民間の調査は主に正社員を対象としているため、数値に差が生じています。調査の種類ごとの結果は以下のとおりです。
| 調査の種類 | 転職で年収アップした人の割合 |
| 厚生労働省「雇用動向調査」(令和6年) | 40.5% |
| doda「転職後の年収比較」調査(2024年) | 59.3% |
| doda調査(20代のみ) | 64.0% |
20代に限ると64.0%と全体より高く、若手ほど転職で年収を上げやすいといえます。
出典:令和6年 雇用動向調査結果の概要|厚生労働省
出典:2024年度版 決定年収レポート|パーソルキャリア株式会社
出典:年代別 転職時の年収変動レポート(2025年度版)|パーソルキャリア株式会社
転職で上がった年収の平均額
転職で年収が上がった人の平均アップ額は約73万円です。dodaの調査では、転職後に年収が増加した人の年収は平均72.7万円上がっています。一方、年収が下がった人も含めた転職者全体でみると、平均変動額は7.1万円の増加です。
さらに、100万円以上の大幅なアップを実現している人も一定数います。マイナビの調査では、年収が上がった人のうち13.8%が100万円以上のアップに成功しており、30代に限ると約5人に1人に達しています。年収増化額の相場を把握しておくと、年収交渉で伝える希望額を現実的な水準に設定しやすくなるでしょう。
出典:doda転職前後の年収変動レポート【2025年11月版】|パーソルキャリア株式会社
出典:転職による年収アップの実態調査|株式会社マイナビ
転職で年収が上がりやすい年代と職種
転職で年収が上がりやすいのは、経験と将来性の両方を評価される20代後半から30代です。即戦力として生かせる経験に加えて今後の成長も見込めるため、企業はこの年代に高い給与を提示しやすくなります。実際に、株式会社マイナビの調査では、20代で年収アップした人の割合は4割半ばと全年代で最も高くなっています。
職種で年収が上がりやすいのは、専門スキルへの需要が高いITエンジニアや金融系専門職です。パーソルキャリア株式会社の調査では、転職による平均アップ額は金融系専門職が約125万円、SE・インフラエンジニアなどの技術職が約114万円と、他の職種を大きく上回っています。自分の年齢やスキルをこうした市場の需要と照らし合わせると、転職で年収アップを狙えるかを判断しやすくなるでしょう。
出典:転職による年収アップの実態調査|株式会社マイナビ
出典:転職で年収アップするのはこんな人|パーソルキャリア株式会社
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年収アップのための転職戦略

年収アップを実現するには、戦略的な転職活動が重要です。ただ転職するだけでは給与上昇は期待できず、自分のキャリアや市場の状況を踏まえた企業選びが欠かせません。年収アップのための転職戦略は以下のとおりです。
- 同業界・同職種でスキルを生かす
- 平均年収が高い業界へ転職する
- 実力主義の企業を選ぶ
3つの戦略を知っておくと、自分の経験や希望に合った年収アップの進め方を選べます。
同業界・同職種でスキルを生かす
同業界・同職種への転職は、身に付けたスキルや経験をそのまま生かせるため、即戦力として評価されやすく年収アップを狙えます。企業側も研修にかかる費用や時間を節約できる分、高い給与を提示しやすくなります。
転職活動の際は、売上や改善率といった実績を数字で示しましょう。数字を添えると自分の価値を具体的に伝えられ、年収の交渉を有利に進められます。そのうえで、同じ業界や職種の中でも給与水準の高い大手企業や成長中の会社を狙うと、年収アップの可能性をさらに高められます。
平均年収が高い業界へ転職する
平均年収が高い業界へ転職する方法も、年収アップに有効な手段です。給与水準は業界の構造や利益の出し方によって大きく異なるため、利益率が高く社員に還元しやすい業界ほど高い年収を狙えます。平均年収が高い傾向にある業界は以下のとおりです。
- 総合商社
- 金融(投資銀行・証券など)
- コンサルティングファーム
- IT(特に外資系の企業)
- マスコミ
- 医薬品メーカー
こうした業界でも、経験が少ない若手が今後の成長を期待されて採用されるチャンスは十分にあります。希望する業界を徹底的に研究し、事業内容への理解や自ら学ぶ姿勢を選考で示しましょう。
実力主義の企業を選ぶ
転職で年収アップを実現するには、年齢や社歴に関係なく成果を評価する実力主義の企業を選ぶことが重要です。年功序列の企業では在籍年数によって給与が決められる一方で、実力主義の企業では成果次第で若手でも高い年収を狙えます。実力主義かどうかは、求人情報や企業の公式サイトから以下のポイントで見極められます。
- 成果報酬制度やインセンティブ制度を導入している
- 評価基準や昇給の仕組みを公開している
- 若手を抜擢した実績や早期昇進の事例がある
- 口コミサイトで評価制度に納得する声が上がっている
4つのポイントに当てはまる企業ほど成果がそのまま給与に反映されやすく、入社後も継続的な年収アップを見込めます。
転職活動での年収交渉のポイント

転職での年収交渉を成功させるには、事前準備が欠かせません。準備なしで交渉に臨むと、根拠のない希望額と受け取られて話がまとまらない可能性があります。転職活動での年収交渉のポイントは以下のとおりです。
- 企業のニーズを把握する
- 年収交渉のタイミングを見極める
- 提示する年収の幅を考える
3つのポイントを押さえておくと、企業の心証を損なわずに希望額を伝えられ、年収交渉が成功する確率を高められます。
企業のニーズを把握する
転職での年収交渉を成功させるには、企業が抱える課題や採用の目的を正確に理解することが欠かせません。企業の課題に対して自分のスキルや経験がどう役立つかを具体的に示せると、採用する価値の高い人材だと認めてもらいやすくなり、希望額にも説得力が生まれます。企業のニーズを把握するには以下の方法が有効です。
- 求人票の「募集背景」や「求める人物像」を詳しく読む
- 企業の公式サイトやプレスリリースで事業の方向性を調べる
- 業界ニュースから企業が直面している課題を推測する
- 転職エージェントに募集の詳しい背景を聞く
- 面接の逆質問で入社後に期待される役割を確認する
複数の方法を組み合わせて企業研究を行うと、自己アピールの精度が上がり、年収交渉を有利に進められます。
年収交渉のタイミングを見極める
年収交渉を成功させるには、交渉を切り出すタイミングが重要です。選考の早い段階で年収の話をすると、仕事内容よりもお金を優先していると誤解されるおそれがあります。一方で、企業がスキルや人柄を高く評価し「ぜひ採用したい」と考えている段階なら、希望額を受け入れてもらいやすくなります。
年収交渉におすすめのタイミングは以下のとおりです。
- 内定通知を受けた後
- 最終面接で待遇の希望を質問されたとき
- 最終面接の逆質問の場面
3つのうちいずれかのタイミングまで交渉を待つと、評価を下げるリスクを抑えながら希望額を伝えられます。
提示する年収の幅を考える
転職で希望の年収を伝える際は、金額に幅を持たせましょう。たとえば「450万円」と1つの金額に絞るのではなく「450〜480万円」と伝えると、企業側に給与を検討する余地が生まれ、交渉が決裂しにくくなります。幅を決めるために、事前に2種類の年収を考えておきましょう。
1つ目は最低希望年収で、これを下回るなら転職しないという最低ラインです。生活が成り立つ水準を割らないよう、現在の年収や生活費をもとに決めます。
2つ目は希望年収で、交渉の場で目指す目標額です。相場から懸け離れた金額は受け入れられにくいため、スキルや経験に対する業界の相場を調べて設定します。この2つを下限と上限にすると、生活の基準と市場の相場を踏まえた現実的な幅を迷わず提示できます。
年収が下がる転職パターンと回避策

転職は必ずしも年収アップにつながるとは限らず、選び方や準備次第では年収が下がる場合もあります。年収が下がりやすい転職パターンは以下のとおりです。
- 未経験職種への転職
- 年収以外を優先した転職
- 自己分析不足での転職
自分の転職がどのパターンに当てはまりそうかを事前に把握しておくと、対策を立てて年収ダウンのリスクを抑えられます。
未経験職種への転職
未経験の職種への転職は、今までのスキルや経験が直接評価されにくく、年収が下がる場合があります。企業側は育成にかかるコストを見込むため、即戦力採用に比べて低い給与を提示する傾向にあります。未経験職種へ転職する場合は、以下のポイントを意識しましょう。
- コミュニケーション能力など、業界や職種を問わず通用するスキルをアピールする
- 今までの業務内容と一部でも共通点がある職種にチャレンジする
- 取得済みの資格や学習経験を選考で示す
- 研修制度やキャリアパスが整っている企業を選ぶ
4つの工夫を組み合わせると、未経験でも評価される材料を増やせて、年収ダウンの幅を抑えられます。
年収以外を優先した転職
仕事のやりがいや働きやすさなど、年収以外の条件を優先すると、転職で年収が下がる場合があります。給与とほかの条件をすべて満たす求人は限られるため、何を優先するかによって年収面での妥協が必要になります。年収より優先されやすい条件は以下のとおりです。
- ライベートと両立できる労働時間
- 社会貢献を実感できる仕事内容
- スキルアップにつながる業務環境
- 在宅勤務など柔軟な働き方
- 良好な人間関係や職場の雰囲気
- 希望エリアで働ける勤務地
こうした条件を重視する転職自体は間違いではありません。ただし、優先順位を曖昧にしたまま転職先を決めると、想定以上の年収ダウンを招くおそれがあります。年収を下げてでも実現したい条件はどれか、下げられるのはいくらまでかを事前に決めておくと、条件と年収の両方に納得できる転職先を選べます。
自己分析不足での転職
自己分析が足りないまま転職活動を進めると、自分の価値を正しく伝えられず年収が下がる原因になります。強みやこれまでの経験を深く理解していないと、面接で説得力のあるアピールができません。転職先に求める条件も曖昧になるため、能力を生かせない年収の低い求人を選んでしまう可能性もあるでしょう。入社後に業務内容や待遇の認識がずれるミスマッチが起これば、年収ダウンだけでなくキャリアの停滞にもつながりかねません。
ミスマッチを回避するには、転職活動を始める前に経験の棚卸しを行いましょう。担当した業務と数字で示せる実績、そこで身に付けたスキルを書き出すと、面接で伝える強みと転職先に求める条件の両方が明確になり、自分の価値に見合った年収の求人を選べます。
年収アップを目的とした転職の注意点

年収アップを目的とした転職でも、給与額の高さだけで転職先を決めると、働き方やキャリアの面で後悔する場合があります。年収アップを目的とした転職の注意点は以下のとおりです。
- ワークライフバランスを考慮する
- 企業文化や職場環境を調べる
- キャリア全体を通しての安定性を考慮する
3つの注意点を押さえておくと、目先の金額に偏らず、長く納得して働ける転職先かどうかを判断できます。
ワークライフバランスを考慮する
年収アップを目的とした転職でも、ワークライフバランスの確認が欠かせません。高い年収が長時間労働や休日出勤の対価になっているケースは多く、給与が増えても心身の負担が大きければ働き続けること自体が難しくなります。
ワークライフバランスを考慮するには、以下の点を求人票や面接で確認しましょう。
- 月平均の残業時間
- 休日出勤の有無と頻度
- 固定残業代の有無と時間数
- 休暇制度と取得実績
- リモートワークなど働き方の柔軟性
提示された年収を想定の労働時間で時給に換算すると、労働に見合う給与であるかを判断しやすくなります。仕事とプライベートを両立できる環境を選ぶことが、年収と働きやすさの両方に納得できる転職につながります。
企業文化や職場環境を調べる
年収アップを目的とした転職でも、企業文化や職場環境が自分に合っているかの確認が欠かせません。会社の雰囲気や人間関係は日々の仕事の満足度に大きく影響し、給与が良くても社風が合わない環境では、ストレスから長く働き続けることが難しくなります。
たとえば以下の方法を活用すると、企業文化や職場環境を調べられます。
- 採用サイトや公式SNSで社員の働く様子を確認する
- 口コミサイトで在籍者や退職者の評価を調べる
- 転職エージェントから職場の内情を聞く
- 面接の逆質問で働き方の実態を質問する
- OB・OG訪問で現場の声を集める
1つの情報源だけでは、会社の良い面しか見えない場合もあります。複数の視点から情報を集めると、入社後の認識のずれを防ぎ、自分に合う職場かを冷静に判断できます。
キャリア全体を通しての安定性を考慮する
転職では目先の年収アップだけでなく、キャリア全体を通した安定性を考慮することが重要です。入社時の給与が高くても、身に付くスキルの需要が先細れば市場価値が下がり、長期的に年収を維持することは難しくなります。
転職先を選ぶ際には、以下のポイントを確認しましょう。
- 将来の市場価値:5年後・10年後も社会から必要とされるスキルや経験を積めるか
- 業界や会社の将来性:景気の変動に強く、今後も成長が見込めるか
- 会社の経営状況:安定した経営基盤があり、長く安心して働けるか
- スキルの汎用性:1つの企業に限らず、他の企業でも役立つスキルが身に付くか
- 生涯年収:住宅手当や退職金といった福利厚生も含めた総額で納得できるか
入社時の年収だけで選ぶと、その後の昇給や市場価値の伸びで差がつき、生涯で見た収入はかえって少なくなる場合もあるでしょう。そのため5つの観点をあわせて確認することで、キャリア全体で年収を伸ばせる転職先を選べます。
» キャリアプランとは?理想の仕事や働き方を実現させる方法を解説
転職の年収に関するよくある質問

転職には年収が上がる可能性と下がるリスクの両方があり、交渉の進め方に疑問や不安を持つ人も少なくありません。ここでは、そうした疑問の中でもとくに多い以下の質問を紹介します。
- 年収交渉をすると内定に影響する?
- 年収交渉は転職エージェントに任せられる?
- 転職で大幅な年収アップは可能?
疑問を事前に解消しておくと、不安なく年収交渉に臨め、納得できる条件で転職を進められます。
年収交渉をすると内定に影響する?
適切な伝え方をすれば、年収交渉が理由で内定を取り消されることはほとんどありません。株式会社マイナビの調査では、転職時に年収交渉を行った人は半数を超え、交渉した人の8割以上が給与アップに成功しています。年収交渉は多くの転職者が行っており、企業側も想定している一般的なやり取りです。
ただし、相場から懸け離れた金額を要求したり、選考の早い段階で切り出したりすると、マイナス評価につながるおそれがあります。企業の採用意欲が高まった段階で、業界の相場に沿った幅のある金額を伝えると、内定への影響を抑えながら交渉を進められます。
年収交渉は転職エージェントに任せられる?
年収交渉は転職エージェントに任せられます。転職エージェントを利用した場合、担当のキャリアアドバイザーが求職者に代わって企業と条件面のやり取りを行うため、自分で希望額を切り出す必要がありません。また、企業の給与水準や過去の交渉事例を踏まえて進めてもらえるので、自分で交渉するよりも現実的な着地点を見つけやすくなります。
年収交渉を任せる場合は、最低希望年収と希望年収の2種類を転職エージェントに正確に伝えておきましょう。希望額の根拠となる実績やスキルもあわせて共有すると、エージェントが企業に対して説得力のある交渉を進められます。
転職で大幅な年収アップは可能?
転職で100万円以上の大幅な年収アップは十分に可能です。ただし誰でも実現できるわけではなく、専門性の高いスキルが求められる仕事や、年齢に関係なく成果で評価される会社を選べるかどうかが結果に影響します。あわせて、売上や改善率など数字で示せる実績があると、高い希望額にも説得力を持たせられます。
転職で年収アップを成功させるために戦略的に動こう

転職で年収アップを成功させるには、計画的な戦略が欠かせません。自分の市場価値を正しく理解しないまま転職活動を進めても、希望の年収条件を引き出すことは困難です。同業界・同職種でのスキルの活用や平均年収が高い業界への挑戦など自分の経験に合った戦略を選び、企業の採用意欲が高まったタイミングで根拠のある希望額を伝えると、年収アップの成功確率を高められます。
一方で、転職には年収が下がるリスクもあります。年収が下がりやすいパターンをあらかじめ把握し、給与だけでなく働き方やキャリア全体の安定性まで含めて転職先を見極めることが、後悔しない転職につながります。