日々の業務に追われて、将来に漠然とした不安を抱えていませんか?将来を明るいものにするためには、適切なキャリアパスを考えることが求められます。しかし、適当にキャリアパスを考えても、将来への不安は解消されません。
この記事ではキャリアパスの基本から具体的な作成方法、実際の事例まで詳しく解説します。記事を読めばキャリアパスの正しい作成方法がわかり、将来への不安を解消するヒントを得られます。自己分析をして具体的なゴールを設定すれば、自分に合ったキャリアパスを作ることが可能です。
キャリアパスとは企業におけるキャリアアップの道筋のこと

キャリアパスとは目標とする役職や仕事に就くために、どのような経験やスキルを積むのかを示した道筋のことです。社員の将来のキャリアをイメージしやすくするために、会社側が提示するロードマップとも言えます。キャリアパスがあることで、次のステップに必要なスキルや資格が明確になります。
キャリアパスの基礎知識として解説する内容は以下のとおりです。
- キャリアプランやキャリアデザイン、キャリアアップとの違い
- キャリアラダーとの違い
キャリアプランやキャリアデザイン、キャリアアップとの違い
キャリアプランやキャリアデザイン、キャリアアップはキャリアパスと似ていますがそれぞれ意味が異なります。キャリアパスは「企業」を主体として考えますが、他の3つは「個人」が主体となって考えます。それぞれの言葉の意味は以下のとおりです。
- キャリアパス:会社が社員に示す成長の道筋のこと
- キャリアプラン:理想の働き方を実現するための、個人の行動計画のこと
- キャリアデザイン:価値観や生き方も含めて、理想の働き方を主体的に設計すること
- キャリアアップ:スキルアップや昇進などを通して、自分の市場価値を高めること
それぞれの言葉が指す目的や視点が違うため、混同しないように注意が必要です。
» キャリアプランとは?理想の仕事や働き方を実現させる方法を解説
» 自分らしい働き方を実現するキャリアデザインのコツ
キャリアラダーとの違い
キャリアラダーとは組織内で定められた昇進のルートを段階的に進むことです。広い意味でキャリアの道筋を示すキャリアパスとは意味が異なります。
キャリアラダーは「一般社員から主任」のように、決められたルートを登っていくイメージです。キャリアパスは個人の希望に合わせて、職種変更や事業部の移動などのさまざまな道を選べます。キャリアパスは多様な働き方が求められる時代に合った、新しい考え方と言えます。
キャリアパスが注目される背景

キャリアパスが注目されている背景は以下のとおりです。
- 終身雇用の崩壊とジョブ型雇用の普及
- 多様化する働き方への対応
- 人材育成の重要性の高まり
終身雇用の崩壊とジョブ型雇用の普及
キャリアパスが注目される大きな理由は終身雇用が崩壊して「ジョブ型雇用」が広まったことです。ジョブ型雇用とは会社に長くいることより、どんな仕事ができるかを問われる雇用形態のことです。
これまでの時代は一度会社に入れば定年まで安泰とされてきました。しかし、近年は会社の業績やリストラによって、早期退職するケースも増えています。今は1つの会社を頼り続ける働き方ではなく、どんな仕事ができるか問われるジョブ型雇用が広がっています。
ジョブ型雇用では年齢や勤続年数ではなく、個人の専門的なスキルや実績が評価されます。ジョブ型雇用の広がりにより、将来を考えて自分の市場価値を高めていく姿勢が求められるようになりました。近年の働き方のルールチェンジが、キャリアパスを真剣に考えるきっかけになっています。
多様化する働き方への対応

働き方の選択肢が広がったことも、キャリアパスが注目されている理由の一つです。以前は会社に出社して働くことが当たり前でしたが、今は働く場所や時間を選べるようになりました。以下のような働き方の変化が、キャリアパスに大きな影響を与えています。
- リモートワークのような時間や場所に縛られない働き方
- 副業や兼業で会社に頼らないキャリア形成
- 育児や介護などのライフイベントと仕事を両立させる柔軟な働き方
企業は多様な働き方を望む優秀な人材を確保するために、一人ひとりに合わせたキャリアパスを示すことが求められています。
人材育成の重要性の高まり
社員一人ひとりを大切に育てる人材育成が、多くの企業で重要視されています。企業が競争で勝ち残るためには、社員が常に新しいスキルを身に付ける必要があるからです。多くの企業で働く人の数が減少しているため、社員一人ひとりの生産性を高めようとしています。
人材育成に力を入れることで、社員自身が「もっと成長したい」と考えるようになりました。企業は社員の成長を計画的にサポートする仕組みとして、キャリアパスの整備を進めています。
新卒・第二新卒がキャリアパスを提示してくれる企業で働くメリット

新卒・第二新卒がキャリアパスを提示してくれる企業で働くメリットは以下のとおりです。
- 将来の不安が減り安心して仕事に集中できる
- 納得感のある評価を受けられ着実に成長を実感できる
- 早期から市場価値の高い人材を目指せる
将来の不安が減り安心して仕事に集中できる
企業で働くうえで新卒・第二新卒の方は以下のような漠然とした不安を抱えがちです。
- 今のままで働き続けて将来職を失う可能性はないか
- 自分のスキルはちゃんと評価されるか
キャリアパスが明確な企業では入社後にどのようなステップを踏んで成長していくのかがわかるため、安心して業務に取り組めます。自分の成長過程のイメージが明確になると、仕事への集中力も自然と高まります。
納得感のある評価を受けられ着実に成長を実感できる

キャリアパスが明確な企業は社員に求めるスキルがハッキリしているため、評価の基準も明確な傾向にあります。キャリアパスが明確な企業が採用している評価制度の例は以下のとおりです。
- グレード制(職能資格制度):等級ごとに役割を設定
- 360度評価制度:多面評価で強み把握
- 行動評価(バリュー評価)制度:理念に沿った行動を評価
- 自己申告制度(キャリア面談制度):希望と評価をすり合わせ
キャリアパスや評価基準が明確だからこそ自分の成長に必要な努力が見えやすく、安心してチャレンジできます。
早期から市場価値の高い人材を目指せる
キャリアパスが整備されている会社では社員の成長を促進するための教育制度や研修が充実している傾向があります。新卒・第二新卒の早い段階から研修を計画的に利用して、キャリアアップに必要なスキルや経験を積むことが可能です。
明確なキャリアパスのもとで培ったスキルや経験は自身の市場価値を高める武器になります。将来的にキャリアチェンジや転職を考えることになったとしても、企業で身に付けたスキルは大きな強みとなります。
キャリアパスの作成が個人にもたらすメリット

キャリアパスの作成が個人にもたらすメリットは以下のとおりです。
- 自己成長やスキルアップにつながる
- キャリアの方向性を見極められる
- モチベーションを維持できる
自己成長やスキルアップにつながる
キャリアパスを作成すると、自己成長やスキルアップを計画的に進められます。将来の理想の姿から逆算すれば、今学ぶべきことが明確になります。将来の姿がイメージできているので、目の前の仕事が自己成長にどう役立つのかを理解することも可能です。
キャリアパスの作成によって、自分の成長をはっきりと実感できるようになります。キャリアパスは自分の能力を効率的に高めていくための心強い道標と言えます。
キャリアの方向性を見極められる

キャリアパスを作成すると、自分が進むべき方向がはっきりと見えてきます。会社がどのようなキャリアの道筋を用意しているのか知ることで、現在地とゴールが明確になるからです。キャリアパスの作成によって、以下のような具体的な選択肢を考えられます。
- 専門家や管理職など、将来の選択肢がわかる
- 5年後、10年後を見据えて仕事ができる
- 理想の働き方と会社の示す道が合っているかを確かめられる
- 今の会社を続けるべきかがわかる
キャリアパスは将来を具体的に想像して、納得のいくキャリアを歩むための重要な要素です。
モチベーションを維持できる
キャリアパスを作成すると将来の目標と道筋がはっきりするため、仕事へのモチベーションも維持しやすくなります。学ぶべき内容に迷ったときは作成したキャリアパスを再確認すると進むべき道がわかります。将来に対する漠然とした不安がなくなることも、キャリアパスを作成するメリットの一つです。
キャリアパスを作成すると次に何をすべきかが見えるため、小さな成功体験を積み重ねられます。キャリアパスはゴールまでの道のりを照らしてくれるため、向上心を持って仕事に取り組めるようになります。
キャリアパスの作成方法

キャリアパスを自分で作成する手順は以下のとおりです。
- 自己分析を行う
- キャリアのゴールを設定する
- ロードマップを描く
- 定期的な見直しと改善を行う
自己分析を行う
自分だけのキャリアパスを作るには、自己分析から始める必要があります。自分が得意なことややりたいこと、仕事に求めるものがわかっていないと、適切なキャリアパスを設定できません。自分を正しく理解すれば、将来進みたい道がはっきりと見えてきます。
これまでの仕事や経験を振り返り、身に付いたスキルを書き出してみましょう。過去に成功体験や失敗した経験を振り返れば、得意なことと苦手なことを見つけられます。将来やりたい仕事や理想の働き方を言葉にして、自分が大切にしたいことに優先順位をつけることもおすすめです。
上司や同僚からの意見も参考にすれば、客観的な視点から自己分析ができます。1人で自己分析することが難しい場合、目標となる人を見つけて参考にする方法もあります。自分を多角的に分析すれば、納得のいくキャリアパスを作成可能です。
キャリアのゴールを設定する

自己分析で現在地がわかったら、キャリアのゴールを設定しましょう。漠然としたゴールではなく、できるだけ具体的なゴールをイメージする必要があります。キャリアのゴールを設定する際は、以下の項目を考えるとスムーズに進みます。
- 時間軸ごとの目標
- 理想の役職やポジション
- 身に付けたいスキルや知識
- 理想の働き方や環境
- 理想の年収や評価
キャリアのゴールを具体的に設定すれば、次のステップであるロードマップも考えやすくなります。
ロードマップを描く
キャリアのゴールが決まったら、ゴールに辿り着くまでのロードマップを考えます。ロードマップを明確にすれば、自分が今何に取り組むべきかがはっきりとわかります。キャリアパスのロードマップを作成する手順は以下のとおりです。
- 期間ごとの目標を設定する
- 必要なスキルや経験を書き出す
- 行動計画と期限を設定する
- 計画へのフィードバックをもらう
- 年表や図で可視化する
ロードマップはゴールから逆算すると、効率的に考えられます。ロードマップが完成したら先輩や友人など、自分以外の人に見てもらいましょう。自分以外の人に見てもらえば、客観的なアドバイスをもらえる可能性があります。段階的に計画を立てると、日々の仕事に目的意識を持って取り組めるようになります。
定期的な見直しと改善を行う
キャリアパスは作ったら終わりではなく、定期的に見直して改善することが必要です。自分の興味や価値観、会社の状況は時間とともに変わっていくからです。最初に設定したキャリアパスが、いつの間にか現状と合わなくなってしまうことはよくあります。
キャリアパスを見直す際は目標の達成度を確認したり、自己分析を再度行ったりしましょう。必要に応じて新しい行動計画を追加することもおすすめです。キャリアパスを定期的に改善すれば、常に自分に合った道筋でキャリアアップを目指せます。
キャリアパスの具体例

キャリアパスの具体例を以下の職種ごとに解説します。
- 営業職のキャリアパス
- 技術職のキャリアパス
営業職のキャリアパス
営業職は多彩なキャリアパスがあり、社内外に多くの選択肢があります。営業活動を通じて得られるコミュニケーション能力や課題解決能力は、あらゆるビジネスシーンで高く評価されます。営業職から考えられるキャリアは以下のとおりです。
- 管理職
- 営業企画・マーケティング職
- 商品企画・事業企画職
- 人事・採用担当
- 独立・起業
今の仕事を続けて、営業のスペシャリストになる選択肢もあります。営業職はキャリアの出発点として多くの可能性を秘めており、キャリアパスを大きく広げられる職種と言えます。
技術職のキャリアパス
技術職は専門性を深める道から独立・起業まで、多様なキャリアパスを設定できます。技術職は専門的なスキルが求められる仕事なので、スキルを土台にしてさまざまなキャリアを築けます。技術職の人は実務を通じて経験を積み、自分の興味や得意なことに合わせて進む道を決めることが一般的です。
スキルを高めてスペシャリストになったり、フリーランスとして独立するキャリアもあります。技術職は適性や興味に合わせて、多様なキャリアを選べる魅力的な職種です。
キャリアパスを描いて自分らしい成長を実現しよう

変化の激しい現代において、キャリアパスを考えることは自己成長につながります。将来を会社任せにするのではなく、自分の意思で決めることで仕事の満足度が高まります。完璧なキャリアパスを設定する必要はなく、小さな目標を立てて行動しながら見直すことが大切です。
キャリアパスは状況に応じて柔軟に変化させるものです。適切なキャリアパスを設定して、自分らしい成長を実現しましょう。