「同年代と比べて自分の年収は低いのではないか」と悩んでいませんか?年齢別の平均年収データは、キャリアの方向性を決めるうえで欠かせない判断材料です。
この記事では年齢別・性別・学歴・地域・業種といった切り口から、日本の平均年収を詳しく解説します。記事を読めば自分の市場価値を客観的に把握でき、転職や副業など年収アップに向けた具体的な戦略を立てられます。自分の現在地を正確に把握し、戦略的なキャリアプランで理想の年収を実現しましょう。
年齢別の平均年収

年収は年齢とともに上昇する傾向があります。経験やスキルが蓄積され、責任ある立場になると給与も相対的に増えるためです。年代別の平均年収は以下のとおりです。
年代 | 前半 | 後半 | 全体 |
20代 | 267万円 | 394万円 | 331万円 |
30代 | 431万円 | 466万円 | 449万円 |
40代 | 501万円 | 521万円 | 511万円 |
50代 | 540万円 | 545万円 | 543万円 |
60代 | 445万円 | 354万円 | 400万円 |
20代の平均年収
20代全体の平均年収は約331万円です。20代は社会人経験の浅い前半と、スキルが身に付く後半で年収に大きな差があります。20代前半(20~24歳)の平均年収は約267万円、20代後半(25~29歳)は約394万円と、5年間で127万円も増加します。
20代の年収は個人のスキルや勤務先の規模、業界によって大きく変わる時期です。IT業界や金融業界では20代でも高年収を得られる可能性があるので、自分のキャリアプランに合わせて業界を選びましょう。
» 新卒の平均年収はいくら?高収入の業界と年収以外の注目ポイント
30代の平均年収

30代の平均年収は全体で約449万円です。30代は20代で培った経験が評価され、責任ある仕事を任される機会が増える時期になります。30代の年収が上昇する主な要因は以下のとおりです。
- 実務経験の蓄積による専門性の向上
- チームリーダーや主任への昇進
- プロジェクトマネジメント経験の評価
- 転職市場での経験者としての価値向上
- 業界知識と人脈の拡大
30代前半(30~34歳)の平均年収は約431万円、30代後半(35~39歳)は約466万円と、着実に上昇します。30代の経験者は転職市場でも評価されやすく、年収アップを狙った転職のチャンスも広がる重要な時期です。
40代の平均年収
40代の平均年収は約511万円であり、多くの方がキャリアのピークに近づく時期です。
40代前半(40~44歳)の平均年収は約501万円、40代後半(45~49歳)は約521万円と、年齢とともに上昇します。女性はライフイベントによるキャリアの中断や非正規雇用の割合が高いため、40代では年収の男女差も生じます。
40代は経験と専門スキル、役職によって年収の個人差が最も顕著になる年代です。専門性を高めた方や管理職に就いた方は高年収を得られる一方で、キャリアアップできなかった方との格差が広がります。
50代の平均年収

50代は多くの方にとって生涯で最も年収が高くなる年代です。50代の平均年収は約543万円に達し、長年の経験とスキルが最大限に評価される時期になります。50代の年収が高い理由は以下のとおりです。
- 長年の経験による高度な専門知識
- 部長・役員など上級管理職への昇進
- 部下育成や組織運営の実績
- 業界内での信頼と広い人脈
- 経営判断に関わる重要な決定権
- 会社への長年の貢献に対する評価
50代前半(50~54歳)の平均年収は540万円、50代後半(55~59歳)は545万円です。収入のピークを迎える一方で、企業によっては役職定年制度により年収が下がり始める方も出てきます。老後の資産形成を考えるうえでも50代でのキャリアは重要な時期です。
60代以降の平均年収
60代以降の平均年収は定年の影響で大きく下がります。60代前半(60~64歳)で約445万円、60代後半(65~69歳)では約354万円になり、50代のピーク時と比べて100万円以上減少します。年収が下がる主な理由は定年後に再雇用や嘱託、パートタイムなどの雇用形態に切り替わるためです。
60代以降は年金受給も始まり、給与収入だけでなく年金を含めた総合的な収入設計が必要になります。健康なうちは働き続けるなど、60代以降は自分のペースで収入を得る方法を考える時期でもあります。
男女別の年収差

男女別の年収差を解説します。男女の年収差と年収差にある背景を理解すると、自分のキャリア戦略を立てやすくなります。
男女別の平均年収の比較
国税庁の調査によると、2023年の平均年収は男性が569万円、女性が316万円で、約253万円の差があります。男性の年収は女性の約1.8倍にあたり、大きな格差が存在しています。年代別の男女年収差は以下のとおりです。
年代 | 男性の平均年収 | 女性の平均年収 | 差額 |
20代前半 | 279万円 | 253万円 | 26万円 |
20代後半 | 429万円 | 353万円 | 76万円 |
30代前半 | 492万円 | 345万円 | 147万円 |
30代後半 | 556万円 | 336万円 | 220万円 |
20代前半では男女の年収差は26万円と比較的小さいものの、20代後半から差が急速に広がります。30代後半では220万円もの差が生じており、年齢を重ねるほど格差が拡大する傾向が明確に表れています。
年収差の要因
男女間の年収差は複数の要因が絡み合って生じています。
女性が年収を上げにくい最大の要因は、キャリアの中断による勤続年数の短さです。出産・育児で一度職場を離れると、復職後も元のポジションに戻れないケースが多く、昇進の機会を逃してしまいます。復職後も時短勤務を選択する女性が多く、フルタイムで働く男性との収入格差が広がる構造があります。
キャリアウーマンとして活躍する女性も増えていますが、管理職に占める女性の割合は依然として低い状況です。パートタイムやアルバイトなど、非正規雇用で働く女性の割合が高い点も、平均年収を押し下げる要因になっています。
学歴と年収の関係

学歴は年収に大きな影響を与える要因の一つです。学歴別の平均年収と学歴が年収に与える影響を見てみましょう。
学歴別の平均年収
学歴によって平均年収には明確な差があります。企業は学歴を専門知識やスキルの指標として評価する場合が多く、高学歴者ほど専門性の高い職種に就きやすいためです。学歴別の平均年収は以下のとおりです。
学歴 | 平均年収 |
大学院卒 | 約643万円 |
大学卒 | 約514万円 |
高専・短大卒 | 約428万円 |
専門学校卒 | 約431万円 |
高校卒 | 約409万円 |
大学院卒と高校卒では年間約234万円の差があり、40年間働くと9,360万円もの生涯賃金差が生じます。大学卒と高校卒の差は約105万円で、生涯賃金では4,200万円の違いになります。学歴による初任給の差は今後の昇給や昇進にも影響し続けるため、早い段階から計画的に進路を定めましょう。
学歴が年収に与える影響
学歴が年収に影響を与えるのは、初任給の差だけが理由ではありません。企業は高学歴者の学習能力やポテンシャルを高く評価し、将来の成長を期待して採用や昇進で優遇する傾向があります。学歴が年収に与える具体的な影響は以下のとおりです。
- 初任給の格差
- 大手企業への応募資格
- 専門職への就職機会
- 採用選考での有利性
- 昇進・昇給スピードの違い
高学歴者は大手企業や人気企業への就職機会が多く、入社後も昇進スピードが速い傾向があります。初任給の差に加えて昇進速度の違いが積み重なると、生涯賃金に大きな差が生まれるので早めにキャリアプランを考えましょう。
地域別の年収差

地域による年収差を理解すれば、転職や移住の判断材料になります。都道府県別の年収ランキングと年収の地域差を生む要因を見てみましょう。
都道府県別年収ランキング
都道府県によって平均年収には大きな差があります。大企業の本社が集中する大都市圏では給与水準が高く、地方との格差が生じています。都道府県別の平均年収ランキングは以下のとおりです。
順位 | 都道府県 | 平均年収 |
1位 | 東京都 | 約599万円 |
2位 | 神奈川県 | 約561万円 |
3位 | 愛知県 | 約543万円 |
4位 | 大阪府 | 約538万円 |
5位 | 兵庫県 | 約519万円 |
45位 | 秋田県 | 約408万円 |
46位 | 岩手県 | 約407万円 |
47位 | 青森県 | 約401万円 |
1位の東京都と47位の青森県では約198万円の差があり、地域格差の大きさがわかります。上位5都府県はすべて三大都市圏(東京圏・名古屋圏・大阪圏)に属しており、経済活動の集中度が年収に直結しています。転職や就職を考える際は勤務地の年収相場を考慮しましょう。
地域差を生む要因
地域による年収差は経済構造の違いから生まれています。地域差を生む主な要因は、大企業の本社が東京のような大都市に集中している点です。大都市圏には高収入産業が集中し、企業は優秀な人材を確保するため高い給与が設定されています。
IT・金融などの高収入業種も都市部に多く、人材獲得競争が激しいため給与水準が上がります。地方では産業構造が異なり、製造業や農業が中心の地域では給与水準が低くなりがちです。自分のキャリアを考える際は、どの地域で働くかが重要な判断材料になります。
業種・職種別の平均年収

年収は業界と職種によって大きく異なります。収入レベル別の業種・職種分類は以下のとおりです。
分類 | 高収入 | 中収入 | 低収入 |
業種 | 金融・IT・商社 | 製造・建設 | サービス・小売 |
職種 | 専門職・コンサルタント | 営業・技術職 | 事務・販売職 |
業界・職種選びは年収に直結するため、業種に強いこだわりがない限り、業界の給与水準を確認することが大切です。
業種別の平均年収
業種によって平均年収は大きく異なります。インフラ業界や専門知識が必要な金融業、情報通信業は特に年収が高い傾向があります。業種別の平均年収は以下のとおりです。
業種 | 平均年収 |
電気・ガス・熱供給・水道業 | 775万円 |
金融業、保険業 | 652万円 |
情報通信業 | 649万円 |
製造業 | 533万円 |
建設業 | 548万円 |
医療、福祉 | 404万円 |
卸売業、小売業 | 387万円 |
サービス業 | 378万円 |
宿泊業、飲食サービス業 | 264万円 |
最も高い電気・ガス業界と最も低い宿泊・飲食業界では511万円もの差があります。インフラ業界がトップである理由は、規制産業で安定収益が見込めることと、高度な技術者を多く抱えているためです。
金融・情報通信業も専門知識が必要で、グローバル競争にさらされているため高い給与水準を維持しています。一方、宿泊・飲食業界は非正規雇用の割合が高く、コロナ禍の影響も大きく受けたことが低年収の要因となっています。
職種別の平均年収
職種によっても平均年収は大きく変わります。専門的な知識やスキルが必要な職種ほど年収が高くなる傾向があり、責任の大きさが給与に反映されます。職種別の平均年収は以下のとおりです。
職種 | 平均年収 |
投資銀行業務 | 約947万円 |
戦略・経営コンサルタント | 約843万円 |
MR(医薬情報担当者) | 約723万円 |
プロジェクトマネジャー(IT系) | 約671万円 |
ITコンサルタント | 約621万円 |
営業職(IT・通信) | 約485万円 |
Webディレクター | 約482万円 |
販売・サービス職 | 約334万円 |
一般事務・アシスタント | 約316万円 |
投資銀行業務と一般事務では631万円もの差があり、職種選びが年収を大きく左右します。上位の職種は高度な専門知識と経営への影響力を持つ仕事が中心で、成果に応じたインセンティブも大きくなります。IT系の職種が上位に多く入っている要因はデジタル化の進展で需要が高まっているためです。
事務・販売職は定型的な業務が中心で、AIやロボットによる代替リスクも高いことから、今後さらに年収格差が広がる恐れがあります。
年収をアップさせる方法

年収をアップさせる主な方法は以下のとおりです。
- 昇進・昇給を狙う
- 副業で収入を増やす
- 転職で年収を上げる
自分のスキルや経験、ライフスタイルに合わせて最適な方法を選ぶと年収アップを期待できます。
» キャリアビジョンの重要性と作成方法を解説
» 自分らしい働き方を実現するキャリアデザインのコツ
昇進・昇給を狙う
現在の職場で昇進・昇給を目指せば転職のリスクを取らずに済み、今までの実績や人間関係を生かせるメリットがあります。昇進・昇給を実現するためには上司や人事部門と目標設定の面談を行い、評価基準を明確にしましょう。評価基準が定まったら資格取得やスキルアップに投資し、自分の市場価値を高めます。
部署を超えた協力関係を築くと昇進の機会が広がることから、社内での人脈構築も重要です。定期的に自己評価を行い、改善点を見つけて成長し続ける姿勢が昇進・昇給への近道になります。
副業で収入を増やす

副業は空いた時間を使って収入を増やせるだけでなく、副業で得たスキルが本業にも生かせるメリットもあります。初心者でも始めやすい副業は以下のとおりです。
- Webライティング・データ入力
- ブログ・アフィリエイト
- 動画編集・プログラミング
- イラスト制作・悩み相談
- フードデリバリー
副業を始める前に会社の就業規則を確認し、副業が認められているかチェックしましょう。年間の副業所得が20万円を超える場合は確定申告が必要になるため、税務面の準備も忘れずに行うことが大切です。
転職で年収を上げる
転職では短期間で大幅な年収アップを実現できる可能性があります。自分のスキルや経験を高く評価してくれる企業や給与水準の高い業界に移ると、年収を大きく伸ばせます。
転職で年収アップを成功させるためには、転職サイトの年収診断で自分の市場価値を把握しましょう。ITや金融など給与水準の高い業界を狙い、成果が給与に反映されやすい職種を選ぶことがポイントです。
面接では実績を具体的な数字で説明できるよう準備し、希望年収の根拠を明確に伝えられるようにします。年収の交渉が苦手であれば、転職エージェントを活用して交渉を有利に進めましょう。目先の年収だけでなく、福利厚生や将来性も含めて総合的に判断すると満足度の高い転職につながります。
年齢別の平均年収を知って人生設計に生かそう

年齢別の平均年収データは自分のキャリアを客観的に見つめ直すための貴重な指標です。さまざまな平均年収を自分の年収と比較すると、現在の市場価値や今後の可能性が見えてきます。
重要なのは平均年収に一喜一憂することではありません。年齢別のデータを参考にしながら5年後や10年後の目標年収を設定し、逆算して今すべきことを明確にしてください。スキルアップや転職、副業など、年収を上げる選択肢は複数あります。年齢別の平均年収を参考に、自分らしいキャリアと豊かな人生を築きましょう。