第二新卒で転職を考えている方の中には、民間企業ではなく安定した公務員への転職を検討する人が多くいます。一方で、公務員試験は新卒のみが受験できるという誤解から、諦めてしまう人がいるのも事実です。この記事では、第二新卒が公務員になるメリット・デメリットや目指せる公務員の種類、試験対策などを詳しく解説します。
記事を読めば、第二新卒で公務員を目指すための具体的な方法や注意点がわかります。第二新卒でも、公務員になるのは十分に可能です。年齢制限や受験資格を確認し、適切な試験対策を行って、公務員として新たなキャリアをスタートさせましょう。
第二新卒でも公務員になれる

第二新卒でも、公務員になるのは可能です。第二新卒とは、学校を卒業後一度就職したものの、概ね3年以内に退職して転職活動をしている若手求職者を指します。しかし明確な定義はなく、企業によって捉え方が異なる場合があるため、注意してください。
公務員試験は試験区分によって年齢制限が異なります。自分の年齢に当てはまる試験であれば、第二新卒でも採用試験の受験が可能です。30歳前後までは新卒扱いとして、専門試験が免除される場合もあります。公務員は社会人経験を活かせる職種も多く、転職者向けの採用枠が設けられているケースもあります。
転職者向けの採用枠では、民間企業での経験が評価されやすい点が特徴です。自分の能力や経験にあった職種を選びましょう。公務員試験の勉強と並行して、民間企業での勤務も可能です。第二新卒で公務員に転職するチャンスは十分にあると言えます。
» 第二新卒が転職活動を成功させるポイントを紹介
第二新卒が公務員を目指すメリット

第二新卒が公務員を目指すメリットは、以下のとおりです。
- 雇用と給料が安定する
- 社会的信用が得られる
- ワークライフバランスを確保できる
雇用と給料が安定する
公務員の仕事は、雇用と給料が安定している点が魅力です。公務員の雇用は景気に左右されにくく、長期的に安定しています。民間企業のように倒産や解雇のリスクが極めて低いため、安心して働けます。公務員の雇用と給料が安定している理由は、以下のとおりです。
- 定期的な昇給がある
- 年金や各種手当が充実している
- 福利厚生が整っている
- しっかりとした退職金制度がある
- 育児・介護休暇制度がある
- 年功序列の制度がある
将来の見通しが立ちやすく、生活設計もしやすくなります。
社会的信用が得られる

社会的信用が得られるのも、公務員を目指す大きなメリットです。公務員は安定した職業として広く認識されているため、高い社会的評価を受けられます。具体的な理由は、以下のとおりです。
- 公共サービスへ携わっている
- 公平性や公正性が求められる立場である
- 国や地方自治体の代表である
公務員としての経験は、民間企業でも評価される可能性があります。専門性を活かした仕事ができる分野もあり、キャリアアップの機会も豊富です。一方で、社会的信用が高い分、責任は重大です。高い倫理観と公正な判断が求められるので、自覚を持って仕事に取り組みましょう。
ワークライフバランスを確保できる
ワークライフバランスを確保しやすい点も、第二新卒が公務員を目指すメリットの一つです。公務員の仕事は、個人の生活と仕事のバランスを取りやすいと言えます。具体的な理由は、以下のとおりです。
- 残業が少なくなる
- 有給休暇取得率が高くなる
- 育児・介護休暇制度が充実している
- フレックスタイム制度がある
- 基本的に土日祝日が休みになる
- 年末年始・ゴールデンウィークなどの長期休暇がある
ストレスの少ない職場環境で働けるため、自己啓発や趣味の時間を確保しやすいのも魅力です。家族との時間を大切にできます。第二新卒として公務員を選ぶと、長期的に安定したキャリアを築きながら、充実した私生活を送れます。
一方で、民間企業と比べて制約が多い面もあるので、自分の価値観や目標に合っているかをよく検討しましょう。
第二新卒が公務員を目指すデメリット

第二新卒が公務員を目指す際のデメリットは、以下の3点です。
- 給料の大幅な上昇が期待できなくなる
- 民間企業と比べて制約が多くなる
- 拘束時間が長い可能性がある
デメリットを理解し、自分の価値観やキャリア目標と照らし合わせて、慎重に進路を検討しましょう。
給料の大幅な上昇が期待できなくなる
公務員の仕事は、一般的に給料の大幅な上昇が期待できません。年功序列制度が強く、新卒や第二新卒で就職した場合、若いうちの給与上昇は緩やかです。業績連動型の報酬制度が少ないのも、公務員の特徴です。個人の努力や成果が給与に直接反映されにくいため、頑張っても給料が大幅に上がる事例はありません。
民間企業と比べると、ボーナスや特別手当の額も抑えられています。年収全体でも大きな上昇は期待できないのが現状です。給与以外の福利厚生で補完される部分もありますが、現金収入としては限定的です。安定した収入は得られますが、すぐに大幅な収入増加を望む人には向きません。
民間企業と比べて制約が多くなる

公務員の仕事には、民間企業と比べて多くの制約があります。公務員が国民全体の奉仕者として、高い倫理観と公平性が求められるためです。公務員の主な制約は、以下のとおりです。
- 兼業・副業に制限がある
- 政治活動・選挙活動に制限がある
- 守秘義務が厳しくなる
- 異動・転勤の可能性がある
- 業務内容・職場環境がよく変わる
- 贈与・接待に制限がある
SNSの利用や発言にも注意してください。勤務時間外でも公務員としての自覚が求められるので、プライベートな時間でも行動に気をつける必要があります。
拘束時間が長い可能性がある
公務員の仕事は、拘束時間が長い点もデメリットです。公務員業務の性質や緊急時の対応などが理由です。業務内容によりますが、残業や休日出勤が多い場合があります。業務の性質上、定時で帰れない場合もあり、繁忙期には労働時間が増加する傾向です。
会議や打ち合わせによって、実質的な拘束時間が延長されるケースも珍しくありません。緊急時や災害時には長時間勤務が求められます。近年は働き方改革の影響で、公務員の労働環境は改善されつつあります。部署や職種によっても状況が異なるため、事前の情報収集が大切です。
自分のワークライフバランスの希望と照らし合わせて、慎重に検討しましょう。
第二新卒が目指せる公務員の種類

第二新卒が目指せる公務員の種類は、以下の3つです。
- 国家公務員
- 地方公務員
- 公安系公務員
特別職公務員や独立行政法人職員などの選択肢もあります。それぞれの種類の特徴を理解し、適性や興味に合わせて選択しましょう。
国家公務員
国家公務員は、国の行政機関で働く公務員です。安定した雇用と給与が特徴で、社会に貢献できる魅力的な職業と言えます。国家公務員の採用試験は、総合職や一般職、専門職に分かれています。職種によって求められる能力や役割が異なるため、自分に合った職種を選びましょう。
国家公務員の仕事は、中央省庁や地方支分部局での勤務が中心です。全国規模で異動があるので、さまざまな地域で働く経験を積めます。転勤が多いため、プライベートな生活への影響も考慮しましょう。給与面は、地方公務員よりも高めの水準で福利厚生も充実しており、安定した生活を送れます。
国家公務員採用試験には年齢制限がありますので、受験資格を確認しましょう。採用後は研修制度が充実しており、スキルアップの機会が多く用意されています。国の政策立案や執行に携わる仕事はやりがいがあり、社会への貢献度も高いと言えます。責任も大きいため、覚悟を持って臨んでください。
近年では、民間企業出身者の中途採用も増加傾向にあります。多様な経験を持つ人材が求められており、第二新卒の方が挑戦する価値は十分にあります。
地方公務員

地方公務員は、都道府県や市町村などの地方自治体で働く公務員です。地域に密着したサービスを提供する重要な役割を担っています。地域住民との直接的な関わりが多く、地域貢献度が高い点が魅力です。地域の特性や課題に応じた業務が求められ、やりがいを感じやすい職場環境と言えます。
地方公務員の具体的な職種は、以下のとおりです。
- 一般行政職
- 技術職
- 専門職
地方自治体の財政状況により、待遇が異なる場合があるので注意してください。異動の範囲が比較的狭く、地域限定の勤務が多い特徴もあります。採用試験は自治体ごとに実施されるため、志望する地域の情報をしっかりと確認しましょう。
地域の特性を理解し、地域に貢献したいという強い意志があれば、地方公務員として活躍できる可能性が高まります。
公安系公務員
公安系公務員は、国民の安全と秩序を守る重要な役割を担う職業です。警察官や消防士、海上保安官などが公安系公務員の分野に含まれます。公安系公務員には、高い身体能力が必要です。24時間体制の勤務形態や危険を伴う業務があります。若手の採用枠が多く、体力試験が必須項目です。
公安系公務員は、専門的な訓練や資格取得の機会が豊富にあり、自己成長を実感できます。地域に密着した仕事が多いのも特徴です。異動や転勤が頻繁な場合もありますが、地域の人々と直接関われます。退職後も関連分野で再就職できる可能性が高く、長期的なキャリアプランを立てやすい職業です。
第二新卒が公務員を目指すステップ

第二新卒が公務員を目指すステップは、以下のとおりです。
- 公務員試験の受験資格を確認する
- 公務員試験の試験科目を把握する
- 試験勉強のスケジュールを組む
1.公務員試験の受験資格を確認する
第二新卒が公務員を目指すには、公務員試験の受験資格を確認しましょう。受験資格は職種や自治体によって異なります。主に確認する項目は以下のとおりです。
- 年齢制限
- 学歴要件
- 国籍要件
- 居住地要件
- 資格・免許要件
- 職務経験要件
- 身体条件
- 兼業・副業の制限
- 前科・前歴の有無
- 受験可能回数
大切な項目を事前に確認すれば、無駄な時間や労力を避けられます。要件を満たしていない場合でも例外が認められるケースもあるため、詳細は各自治体や機関に直接問い合わせましょう。
2.公務員試験の試験科目を把握する

試験科目を把握しておくと、効果的な勉強計画が立てられます。一般的な公務員試験の試験科目例は、以下のとおりです。
- 教養試験
- 専門試験
- 論文試験
- 面接試験
- 適性検査
- 身体検査
教養試験には、一般知能と一般知識が含まれます。専門試験では行政や経済、法律などが出題されるのが一般的です。職種や自治体によっては、基本的な試験科目とあわせて追加の試験が実施されます。一部の職種では、英語試験や実技試験、集団討論、プレゼンテーションなどの追加試験が行われます。
試験科目は受験する職種や自治体によって異なるため、志望先の試験要項をよく確認しましょう。各科目の出題傾向や配点を把握し、自分の強みと弱みを分析すると、効率的な学習計画を立てられます。
3.試験勉強のスケジュールを組む
あらかじめ試験勉強のスケジュールを立てると、効率よく学習を進められます。まずは受験する試験日を確認してください。試験日を基準に逆算して学習計画を立てます。試験科目ごとの学習時間を見積もりましょう。苦手な科目には多めの時間を割り当てるのがポイントです。
1日の勉強時間を決めたら、週単位のスケジュールも作成しましょう。月単位の学習計画を立てると、計画的に学習が進められます。定期的に模擬試験に取り組めば、成長の実感が可能です。復習の時間を確保するのも忘れないでください。新しい知識の定着には、繰り返し学習が欠かせません。
休息日も適度に設けましょう。リフレッシュすると、より効果的な学習ができます。スケジュールは定期的に見直し、進捗状況や理解度に合わせて、柔軟に修正しましょう。
第二新卒が公務員試験に合格するための勉強法

第二新卒が公務員試験に合格するための勉強法を、独学と予備校に分けて紹介します。
独学
独学での公務員試験合格は十分に可能です。効果的な独学のためには、適切な教材選びと計画的な学習が欠かせません。効率的に独学で学習するために、以下の方法を検討しましょう。
- オンライン学習サイト・動画教材を利用する
- 市販の公務員試験対策本を利用する
- 過去問題を反復して解く
- 時事問題に関する新聞・ニュースを日常的にチェックする
独学は、自分のペースで学習ができる一方で、モチベーションの維持が難しい面もあります。学習計画を立て、定期的に進捗を確認しましょう。勉強仲間を見つけて情報交換や励まし合えば、モチベーションを保ちやすくなります。
予備校
予備校は、公務員試験合格を目指す第二新卒の方の強力な味方です。専門的な指導と充実した学習環境を提供してくれるため、効率的に試験対策を進められます。予備校を利用するメリットは、以下のとおりです。
- 専門講師による指導が受けられる
- 体系的なカリキュラムを組んでくれる
- 最新の試験傾向対策ができる
- 模擬試験や答案添削をしてくれる
- 他の受験生との交流や情報交換ができる
- 個別指導や質問対応のサポートが充実している
- 時間管理や学習計画のアドバイスが受けられる
オンライン講座や通信教育の選択肢もあり、仕事と両立しながら学習を進めたい方にもおすすめです。予備校を選ぶ際は、合格実績や過去の受験者の体験談を参考にしましょう。面接対策や論文指導なども含めた、総合的なサポートを受けられる予備校がおすすめです。
まとめ

第二新卒での公務員への転職は十分に可能です。公務員は安定性や社会的信用などのメリットがある一方で、給与の上昇限度や制約などのデメリットも存在します。自分の適性や希望を考慮しながら、慎重に検討しましょう。
公務員試験は年齢制限や受験資格が職種や自治体によって異なるので、事前の確認が重要です。 試験対策は独学または予備校の利用など、自分に合った方法で進め、合格に向けて計画的に学習を進めましょう。